既存顧客との関係性を活かして売上を伸ばす手法として、近年注目を集めているのが「カスタマーセールス」です。
従来のカスタマーサクセスやカスタマーサポートとは異なり、営業の視点を取り入れることで、顧客満足と収益向上の両立を図る新しいアプローチです。
本記事では、カスタマーセールスの定義からその役割、カスタマーサクセスやカスタマーサポートとの違い、導入効果までをわかりやすく解説します。
また、今回ご紹介する内容は「カスタマーサクセスの近年の潮流と実態調査」資料内でも解説しています。具体的に知りたい方はこちらをご覧ください。
CSのKPI設計/指標は? 効果高い施策は? を調べている方へ
2025年のカスタマーサクセスのトレンドから、解約率などのKPI・効果があった施策・ツールでの生産性向上など、CS担当200名に行ったアンケート結果も掲載。ちょっと気になる「他社の動き」を見てみませんか?
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カスタマーセールスとは、既存顧客に特化して営業を行う部門や活動のことです。従来の新規顧客向けセールスとは異なり、アップセルやクロスセル、紹介による新規顧客獲得など、既存顧客との関係を活かして売上を拡大することを目的としています。
近年、日本国内でも検索数が増加し、カスタマーサクセスに続く注目トレンドとなっており、Googleトレンドを見てみると、ここ数年で右肩上がりで注目されています。マーケティングツールや他部門と連携しながら、顧客の課題やニーズを的確に把握し、長期的な価値提案を行うことが特徴です。
カスタマーセールスは、既存顧客に対してアップセルやクロスセルを提案し、売上拡大を図る営業活動を担います。売上貢献額や契約更新率、紹介による新規顧客獲得数などが主なKPI(重要業績評価指標)です。
業務内容とKPIについて、以下で詳しく解説します。
カスタマーセールスの主な業務内容は、既存顧客の課題や目標を深く理解し、それに応じたアップセル・クロスセルの提案を通じて、顧客単価やLTVの向上など、売上の最大化を図ることです。
顧客の利用状況や課題をMA・CRMなどのツールで把握し、営業機会を見極めたうえで、最適なタイミングで価値提案を行います。また、カスタマーサクセスやインサイドセールスなどと密に連携し、顧客ごとの目標達成に向けたソリューション提案を継続的に行うといった業務もあります。
カスタマーセールスのKPI(重要業績評価指標)は、既存顧客との接点をいかに継続的・効果的に保てているかと、そこから売り上げをどれだけあげられるかを測る指標が中心です。具体的な指標の一例は以下の通りです。
上記の指標を通じて顧客理解を深め、課題解決型のアップセル・クロスセルに結びつけます。また、「ステータス2以下の顧客比率」を管理することで、離脱リスクの早期把握と対応を行います。ちなみに、カスタマーセールスのKGI(重要目標達成指標)は、受注金額ベースなものが多いです。
カスタマーセールスと混同されやすい言葉に「カスタマーサクセス」があります。カスタマーサクセスとは、自社の製品やサービスを通して、顧客を成功に導く能動的な働きかけのことです。
以下では、両者における「役割」及び「KGI・KPI」の違いについて解説します。
カスタマーサクセスは、サービス導入後の初期支援から運用定着、契約更新までを支援し、顧客の成功体験を促すことが主な役割です。一方、カスタマーセールスは、既存顧客に対してアップセル・クロスセルを提案し、売上拡大を目指す営業活動に特化しています。
カスタマーサクセスが顧客満足と定着を担い、その先の成長フェーズで収益向上を図るのがカスタマーセールスという位置づけです。
カスタマーセールスとカスタマーサクセスは役割が異なるため、追うべき成果指標にも明確な違いがあります。
カスタマーセールスは受注額・解約額など「既存顧客への営業による売上拡大」がKGIで、アップセル・クロスセル提案数やARR(年間経常収益)の増加額などが主要KPIです。
一方、カスタマーサクセスのKGIは「顧客の成功体験の実現」であり、その達成に向けてオンボーディング完了率や解約率の低下といった指標がKPIとして設定されます。
「カスタマーサポート」も、カスタマーセールスと混同されやすい言葉です。以下ではカスタマーサポートの業務内容と課題について解説します。
カスタマーサポートは、顧客からの問い合わせやトラブルに対応し、問題解決を図ることが主な役割です。電話やメール、チャットなどを通じて製品やサービスの不明点に答えたり、故障や不具合への対応を行ったりします。
顧客の安心と満足を支える「受け身型」の支援であり、自己解決を促すFAQやチャットボットの整備も進んでいます。売上拡大を目指すカスタマーセールスとは目的もアプローチも異なることを覚えておきましょう。
関連記事:カスタマーサポートとは?仕事内容とカスタマーサクセスとの違い、目的や重要性までわかりやすく解説
カスタマーサポートは基本的に顧客からの問い合わせ対応を担う「受け身型」の業務であり、その特性上、直接的な収益を生み出しにくい点が課題とされています。多くの企業ではコストセンターとして扱われ、人的リソースや対応件数の増加により負担が増大しやすい構造です。
この課題を解消し、顧客対応部門を利益貢献型に転換する動きとして、能動的な価値提供を行うカスタマーサクセスやカスタマーセールスの導入が必要とされています。
※自社データより抜粋
クラウドサーカス株式会社では、カスタマーセールスの役割を導入したこともあり、追加発注の割合が50%を超える成果を上げています。
2014年からカスタマーサクセスに取り組み、2020年以降は新規獲得とエクスパンションの割合を明確に管理。営業型CSを一過性の施策ではなく、継続的な戦略として定着させたことで、毎年安定的に収益を拡大し続けています。
特に工夫していることは以下の3つです。
特にエクスパンションのチャンスを狙うことはMRR増加のために非常に重要です。
しかし、カスタマーサクセスは忙しすぎて、提案活動をする余裕がありません。
そのため、カスタマーサクセス担当の業務を分類し、テックタッチ施策で代替できるものは代替、そのためにカスタマーサクセスツール「Fullstar」を活用してチュートリアルやガイドを整備しました。これにより業務の短縮や提案機会のための余白を生み出すことができました。
空いた時間で提案活動を多く行うことで、追加発注の機会を最大化できています。
本記事では、カスタマーセールスの定義や、カスタマーサクセス・カスタマーサポートとの違い、導入効果などを解説しました。
顧客との信頼関係をもとに、継続的な売上やサービスの価値向上を実現するカスタマーセールスは、企業成長に欠かせない重要な取り組みです。今後のBtoBビジネスにおいてますます重要性を増すと考えられます。
自社に最適な導入方法を検討しながら、収益向上と顧客満足の両立を目指しましょう。
また、今回ご紹介した内容は「カスタマーサクセスの近年の潮流と実態調査」資料内でも解説しています。具体的に知りたい方はこちらをご覧ください。
2025年以降のCSのトレンドと、200名のCSに聞いた「KPI設計・効果のあった施策」等をまとめています。
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